遅くなりましたが去る9月16日に開催されたMFJ全日本スーパーモタード選手権MOTO-1ALL STARS第七戦HSR九州に参戦してきました。
結果は決勝9位でした。
当日、チームLizzie motorcyclesのパドックまで足を運んでくださり、ご声援いただいた皆様、BRAINS様、ありがとうございました。
また、当日手伝ってくれた友人達、D-GARAGEの緒方社長、メカニックを担当したくれた二人のスタッフさん、淀川監督に感謝致します。
また、励ましのメッセージを下さったAMRカスタム管理人さん、現役時代からいつもありがとうございます。
前日にメールをくれた両親、忙しい合間を縫って寝る間を惜しんで応援に来た大好きな人にスペシャルサンクスです。
お陰様をもちまして、2009年を最後に活動を休止していた上、準備期間がわずか一ヶ月半しかなかった自分が、日本の舞台で半分より上に行くと言う目標を達成出来ました。
当日は時折激しく降る雨のおかげで、初めて体験するような泥々の超マディレースでありました。
またここ熊本県のHSRは火山灰で出来たダートコースであるため、雨が降るとモタードマシンでは、テーブルトップを登るのですら困難になるほどツルツルになる上、ターマックと呼ばれるロード区間のアスファルト全域にそのツルツルの泥が引っ張られ、ダートを苦手とし、ターマックを得意とする僕には、最悪のコンディションで、辛く忍耐のレースでした。
決勝では、ミスを犯しバンクに乗り上げて転倒を喫し、ギアが噛み込んでしまったためエンジンの再始動にかなり手間取り、一瞬諦めそうになったのですが、最後まで全力で走り抜けて9位でゴール出来たのは、本当に皆様のおかげです。
ありがとうございました!!
(ゴール直後の瞬間・横山さんに撮って頂きました)
2010年、同じように準備不足で臨んだこのレースでは、後ろから2番目と言うボロボロの成績だったこともあり、この結果にはある程度満足をしております。
完全に納得の行く結果ではありませんでしたが、何はともあれ、超久しぶりのレースを楽しむことが出来ました。
そんなこんなで一日のレポートです。
(色々ありすぎて、レポート長いです)
前日行われた練習走行では、ドライコンディションで、すごく走りやすかった。
一本目の走行こそ、ダートで転倒しまくったり、ターマックでもオーバーランを繰り返し、上手く走れなかったものの、二本目、三本目と回を重ねるごとに修正を重ね、良い仕上がりとなりました。
四本の走行を終え、トップのライダーたちにダートでは離されるものの、得意のターマックでは十分ついていける。
何人かのライダーよりもターマックでは自分の方が速いと言う手応えを得ました。
もちろん、そのライダー達がずっと本気で走っていたかどうかは不明でありますが、とにかく翌日の本番に向け、いい精神状態を作れた事は事実です。
思えば一月半前、AS九州に出場しようと決め、ずっと乗っていなかったバイクを引っ張り出して練習を始めた頃、バイクの加速が恐怖でしかない程落ちぶれていたのに、この短期間でよくここまで感覚を戻せたものだと自分を褒めました。
そして迎えたレース当日。
朝からまさかの雨。
前日の練習がある意味無意味なものとなりました。
競技委員長からウェットレース宣言が出されました。
ツルツル滑る火山灰の黒土に苦しまされるレースが始まりました。
前日、僕のKTMさんに新品のスリックタイヤを履かせて準備してたのに、まさかの雨となってしまい、自分はブリーフィングに参加せねばならない為、スタッフさんに急いでレインタイヤに履き替えてもらいました。
ブリーフィング終了後、すぐに出場してるMOTO-2クラスの公式練習があったのですが、スタッフさん達の尽力で問題なく走れました。
異常にツルツル滑るダート区間に苦戦したものの、転倒もなく、無難に終えました。
が、やはりツルツルのマディ路面では、絶えず体重移動でバランスを取ったり、アクセルワークやクラッチワークも忙しくなり、決勝では体力持つんだろうかと不安になりました。
とにかくタイヤがグリップしない為、淀川監督の指示で、グルービングをして、溝を増やす事に。
同時に、ターマックでの操作性を犠牲したとしてもダートでの走りやすさを重視する為、エア圧を下げ、サスペンションのセッティングもダート重視に変更しました。
ターマックではどんなに乗りにくくなったマシンでも、ある程度は上手く走れる自信があった為、苦手なダート重視のセッティングに切り替えました。
そして迎えたタイムアタック。
自分が速いのかどうかなどとりあえず考えず、ダートでは無難に、得意のターマックでは、転倒して怪我や精神のバランスを崩すことのないように、ある程度マージンを残しセーブしながらも、ペースを上げて走りました。
ボチボチ走れると言う手応えを掴みながら、タイムアタック終了。
結果は11位でした。
今回は22台エントリーだったので丁度真ん中。
もともと、真ん中くらいの順位になれればいいなーなんて考えてた自分はとりあえず満足。
そんなにくつろぐ間もなく、今度は予選ヒートが始まりました。
タイムアタックが目標だった真ん中だった為、何だかリラックスしたままダミーグリッドへ向かいました。
選手紹介の後、ウォーミングアップランがあり、スターティンググリッドに並びました。
レッドシグナルが灯った瞬間、えも言われぬ恐怖心に襲われ、
「あれっ、次どうするんやったっけ??」
「そうやった、全灯消灯でスタートやった」
とか思いながら、レッドシグナルが灯るとみんな叫びはじめるので、自分も負けじと大声で叫び、ブラックアウトでスタート
「行けぇーーーーっっ!!」
と、叫びながら第一コーナーであるダートに向かって突っ込んで行く。
団子状態で進入した第一コーナーでまさかのスピン。
転倒は免れたものの、場所が場所だけに、全車行きすぎるまで再スタート出来ない状況に。
「焦らなくても大丈夫、結構な台数がダートで絡んで転倒するはず。
むしろここで混乱を避けよう」
と、周りが静かになった頃再スタート。
読みは当たり、結果大幅なジャンプアップで6位フィニッシュ。
昼休みに。
雨のおかげで午前中はレース進行が遅れていましたが、午後からはオンタイムに戻されたため、昼休憩の時間が短縮された。
いよいよ決勝ヒートの時間が近付いた頃、風邪でも引いたのかと言うくらい身体がだるくなり始めた。
こんな時に何してるんだよ!!
と、一瞬思ったが、もしかして緊張して全身が重だるくなってるのでは??と思い直し、
あれ、レースしてた頃いつもこんなだったかな??
とか、過去を思い出しながら、準備をした。
6番手スタート。
予選ヒートとは打って変わって、プレッシャーが掛かり始めたが、選手権を本気で戦ってた頃と違い、今は楽しもうと自分を落ち着かせ、エンジンを掛け、スタート前チェックの場所に向かう。
この場所で、同時開催されたエリア戦の表彰式終了まで長々と待たされ、緊張による重だるさと、待ち疲れで少しフラストレーションが溜まった。
淀川監督がこの場所まで来てくれて、勇気づけてくださいました。
そして、ようやくゲートオープンになり、ダミーグリッドに向かう。
ダミーグリッドには、スタッフさんと、淀川監督が待ってくれていて、この場所で作戦を伝えられる。
写真を見ると、スタッフの一人、和人さんの表情が強張ってるのが印象的ですが、自分はこれからのレースに向けての作戦で頭いっぱいで、それに気づきませんでした。
そして、ウォーミングアップランがスタートしました。
スタート前に色々とトライしていると、ダートでまさかの転倒。
ちょっと痛かった。
ダートを抜けターマック区間に入ると、アスファルト全域にダートの泥が引っ張られ、汚れている事に気づいた。
フロントタイヤにちょっとでも負荷を掛けると、フロントがスコンと容易に滑る。
「自分のライディングスタイルである、フロントタイヤに大きく負荷をかける乗り方では、今日は全く通用しない。
ここに来てまさかのライディングスタイルの変更をせざるを得ないという状況に追い込まれた」
それにしても、ちょっとでもペースをあげるとグリップを失いそうな感じで恐ろしくてペースを上げれない。
「もう少しでウォーミングアップラップも終了するのに、びびってこんな遅い速度しか出しきれない自分がやばい
恐怖心でバイクも全くバンクさせれないし」
と、焦り始めましたが
「いや、先ほどの転倒のおかげで遅れてしまい、他人の走りが見れなかったが、もしかしたらみんなこんな感じでビビってるんじゃないか。
スタートして、周りより大幅に自分自身が遅かったなら、その時に初めて焦って色々考えようじゃないか」
との声が頭の中から聞こえて来たので平静を取り戻すことが出来ました。
そして、レッドシグナル灯りました。
面白いもので、観客には高まるエンジン音で何も聞こえないかもしてないけど、レッドシグナル点灯した瞬間、何人かのライダーは大声で叫びだすのです。
自分も負けず劣らず大声で叫び、そしてブラックアウトで有効回転数を外さず、最大限の加速を引き出す事に集中しつつ、周りの動きに注意しながら
「行けぇーーーーー!!」
と叫びながら第一コーナーへ。
ダートで数台に抜かれつつも、焦るな、チャンスは後から必ず来ると自分に言い聞かせ、苦しいレースを消化していく。
ターマック区間はやはり自分の思った通り、周りもペースが遅く、容易に追いついて行けた。
しかし、泥々のダートは自分にとっては地獄絵図以外の何者でもなく、体力と精神力をどんどんと消耗してしまった。
そんな矢先、ミスを犯し、オーバースピードとなり、ビビってコントロールを失い、コースのイン側の土手に向けてまっしぐらに。
一旦土手を乗り越えようとも思ったが、コースのテープをカットしてコースを外れたら失格となるかもしれないと思い、土手に乗り上げバイクを倒し、コースアウトを防いだ。
バイクを土手から出そうと思っても、エンジンが止まり、ギアがなかなか抜けず、出せなくなった。
「はぁ、やってしまった。
もう終わりや」
と一瞬諦めてしまいかけたものの持ち直し、慌てずギアをニュートラルにし、引きずり出しエンジン始動。
その瞬間、闘争心全開となった。
前を走るバイクにどんどんと追いつき、数台をパスした。
また、目の前で転倒した数台のバイクをうまく処理し、どんどんと前に行った。
目の前に笠くんの背中が見え、絶対にパスしてやろうと追いかけた。
普段のドライでは何の問題もなくジャンプできるコブで、笠くんがスタックしていたのでパス。
そのまま闘争心全開のまま走っていると、先の方にヨッシーの姿が。
絶対にブチ抜いてやろうと、得意のターマック区間でペースをあげ、真後ろまで迫った。
間にもう一台バイクがいたがこれをパスし、ヨッシーに挑んだ。
が、幾度となくブロックをされ、なかなか前に行けなかった。
「師弟対決。
今回は弟子に軍配が上がった。
なんていうシナリオってよくあるよね。
そんな時、師はどんな表情をするんだろう。
いや、勝つのは師である俺の方やでぇーーー!!
まだまだ俺は負けらんねぇ」
と、気合を入れ直し追いかける。
ダートからターマックに変わるコーナーでは、ジュクジュクの黒土が目一杯バラまかれ、アクセルを開けても、リアタイヤが空転しバイクが真横を向くばかり。
先にターマックに飛び出したのはヨッシーであったが、後方の自分の方が、先にうまくバイクの方向を出口に向け、グリップを回復することに成功。
弟子をパス。
この所練習では、久しくバイクに乗ってなかったからとはいえ、負け続けて辛かった。
そんな思いが一瞬ちらつきながらも、闘争心全開でなおも必死で走り続けた。
その後、前を走るバイクを視界に捉えたところで、チェッカーフラッグが振られ、レース終了。
後で分かったことだが、ヨッシーは周回遅れだったので、躍起になって追いかけなくても、勝っていた。
そんなこんな、トップと同一周回の9位でゴールとなりました。
13位以降は1lap以上遅れとなる程、転倒者が続出する難しいレースであったとはいえ、大事なレース中に転んだのは、ダメな事であるし、この結果にはやはり自分自身少し不甲斐なさを感じています。
完全に納得の行く結果ではなかったけど、同時に楽しむ事も出来ました。
さて、レースも終わったことですし、スタッフの生活の為に、一経営者の顔に戻らねばなりません。
また、レースを思いっきって出来るようになるため、今日から経営を頑張ります。
長々と読んでくれたあなた、ありがとう。
KTM250SX-Fと共に、また必ずこのフィールドに戻って来ます。
そのために、もっともっと大きくなります。